当院の取組み

当院の取組み

東海大学医学部付属病院造血幹細胞移植カンファレンス
造血幹細胞移植カンファレンス

造血幹細胞移植医療は、多職種によるチーム医療で成り立っています。当院では、1980年代から造血幹細胞移植に取り組み、歴史の長さ故に、各専門領域との間に強い連携が構築されています。造血幹細胞移植医療の質の向上、人材育成、造血幹細胞の早期採取、地域連携の構築を目的として、各職種が連携をはかりながら一丸となって、下記の取り組みを行っています。

チーム医療

*当院のチーム医療の取組みが製薬企業のホームページで紹介されました(2016年12月)

● 血液腫瘍内科

造血幹細胞移植は治療関連死亡率が30%と極めて高率であり、関連死亡率の低下を最も重要な目標としています。目標到達のために1.造血幹細胞移植専門医の技術向上2.移植患者を取り巻く多くの専門科とのチーム医療の実践3.移植成績向上を目指した、基礎・臨床研究を実践しています。
血液腫瘍内科内の移植診療は2チーム体制で、年間50~70の移植症例数を目指しています。また、造血幹細胞の早期採取を目指して、骨髄バンクのドナー確認検査、最終同意面談、骨髄採取、末梢血幹細胞採取を積極的に受け入れるとともに、より安全な採取に努めています。

● 小児科

小児への幹細胞移植は細胞移植再生医療科と小児科が協同で行い、新規移植患者の依頼や骨髄バンクからの骨髄採取依頼を積極的に受け入れています。特に、再生不良性貧血(先天性・後天性)や先天代謝異常に対する幹細胞移植をすすめています。

● リハビリテーションセンター

リハビリテーションセンターでは、血液腫瘍内科と連携して作成したプロトコールに基づいて介入しています。抗がん剤治療や全身放射線治療等により、機能低下を呈していることの多い移植前の外来診療時から、また、血球減少を生じる無菌室入室中、退院時まで継続的にリハビリテーションを行い、廃用予防、体力増進を図っています。また、2014年より血液腫瘍内科医師、リハビリテーション科医師、理学療法士、看護師のメンバーで構成された造血幹細胞移植リハビリテーションカンファレンスを開始し、他部署と連携しチーム医療を行っています。

● 放射線治療科

全身照射専用の寝台を用いた寝台移動法を開発し、安楽な姿勢での照射や臓器の遮蔽を容易にしています。非腫瘍性疾患などでは全身照射の代わりに胸腹部照射を行い、長期的なQOLを考慮した生殖腺や甲状腺などの遮蔽を行っています。
他施設からの全身照射の依頼や緊急移植症例に対する全身照射の需要にも迅速に対応しています。

● 歯科口腔外科

移植前に口腔外科医による口腔内診察を実施しています。診察において確認された感染源となり得る要抜去歯や要齲触処置歯は、移植スケジュールの状況に合わせながら対応を行います。
また、移植治療中の口腔粘膜障害は口腔衛生状態との関連が指摘されており、口腔外科医による口腔内診察や歯科衛生士による口腔内衛生指導を実施して、口腔粘膜障害の抑制や緩和に努めています。併せて、口腔内細菌叢・口腔内細菌数と移植による口腔粘膜障害との関連性の研究も実施しています。

● 栄養科

病棟ごとに管理栄養士を配置しており、新規入院患者に対しては、入院後に食事の説明を行い、提供される病院食への理解を深めています。食事内容の調整や栄養補給方法の提案など適時に栄養サポートも実施しています。
移植病室入室中の患者に提供する食事は、食物中の細菌および外部からの細菌の侵入を低減した低菌食であり、一般生菌数1×103以下を基準とし、加熱食を基本としています。毎月、提供料理の細菌検査を行い、衛生管理に努めています。

● 輸血室

輸血室は、輸血検査(血液型、不規則抗体、交差適合試験など)、血液製剤の入出庫保管・管理を行っている部門です。さらに自己血採取、骨髄・臍帯血・末梢血に含まれる造血細胞を移植するための移植関連検査(HLA検査、コロニーアッセイ、CD34陽性細胞数測定や生着判定のshort-tandem repeat : STRなど)や移植細胞の凍結保存・解凍業務などを行っています。輸血関連業務に学会認定輸血検査技師制度の認定輸血検査技師7名、日本組織適合性学会の認定HLA検査技術者2名を含む、14人体制で従事しています。日々進歩を遂げ最新の技術で質の高い検査・技術が求められており、そのための体制構築と職員の人材育成を行い患者さんの診断や治療に貢献すべく努力を続けています。

● 薬剤科

移植患者さんへの関わりは、①薬物治療についての服薬指導(特に抗がん薬や免疫抑制剤への説明を重点的に行っています)、②薬物血中濃度解析(患者さんにふさわしい薬の量を計算して医師に伝える業務)、③薬剤の副作用モニタリング、④抗がん剤や高カロリー輸液の無菌的な混合調製を行っています。
移植患者さんは高用量の抗がん薬を投与するので、患者さんの不安や疑問に対して懇切丁寧に説明しています。また、薬物血中濃度を測定し解析することにより、薬物の適正使用に貢献しています。副作用については医師・看護師と協力し早期発見と最適な支持療法を提案しています。注射センターにおいては、無菌的な注射薬の混合により感染症の発現抑制に貢献しています。

● 看護部

患者さんが移植について十分に理解・納得したうえで治療の選択ができ、主体的に移植治療に参加できるよう医療チームと共に支援します。造血幹細胞移植は、小児から成人まで幅広い年代に行われています。そのため、小児病棟・一般病棟との連携を強化し、患者さんが不安を持たずに移植前後の看護が受けられるように調整しています。
移値医療の看護では、副作用や合併症といった異常を早期に発見し、患者さんの身体的な苦痛を最小限度に抑えていきます。そして、医療チームと協働し、患者さんが感染予防行動やリハビリテーションなどのセルフケア行動を、積極的に行えるよう援助していきます。また、身体面だけでなく、不安などの移植治療に伴う心理面についてもサポートし、安全・安楽な移植の療養環境を提供します。

移植コーディネート室 : HCTC

当院では、患者支援センター内「移植コーディネート室」に、室長以下、2名の造血細胞移植コーディネーター(HCTC:Hematopoietic Cell Transplant Coordinator)が配置されています。
移植医療とは、健康な第三者の善意による提供がなければ成り立たず、その実現には多くの方のご理解とご協力が欠かせません。HCTCは、「移植を必要とする患者さん」と「提供してくださるドナー」の橋渡しを行い、双方の当事者やご家族を支えています。また、移植医療に携わる大勢の医療スタッフや、公的バンク、関連学会、社会との連携を強化することで、安全かつ適正な移植医療の提供に努め、あらゆるドナーからの移植ができる体制作り、ドナー採取数UPに向けて尽力しています。
今後、更なるコーディネート業務の充実と、HCTCの育成に努めていきたいと思います。